1月2日《火》アストルに告ぐ。
ピアソラの代名詞みたいになっている「Libertango」。
原曲を聴かれたことはあるだろうか。とりあえず。
ピアソラの演奏家人生の中で一番挑戦的だった(編成を増やしたり、解体したりを繰り返していた)1974年の作品である。
ピアソラが好きな方だったらもしかすると五重奏団での演奏を期待されるかもしれないが、この作品は演奏家の一番多い九重奏団のときにできたものである。
ライブの映像はこちら。わたしがグッと来た演奏。
この後ピアソラは財政の問題やら音楽性の違いなんかで結局のところ五重奏団に落ち着く。
五重奏が基本のタンゴの編成に対して8、9と増やしていったピアソラの変革は、楽曲にまで現れてくる。これが彼の考えていた「自由」だったのだろうか。
ピアソラの演奏家歴からしてみると、どちらかというと迷走していた時代の作品で、結局のところピアソラがこれ、と決めたのは五重奏だったので、おそらくあまり重要な曲ではなかったように思う。
ヨーヨー・マが弾いてから(これはリンクしない)、クラシックの音楽家は「なにかカッコいいデザートみたいな音楽」でこの曲を選ぶようになった。
そこにはタンゴへの情熱も、何の目新しさもなく、ただ単に「見世物」のような音楽になってしまっている。
わたしはピアソラの演奏する「Libertango」以上の「Libertango」を聴いたことがない。
色んな演奏家がこの曲を演奏し、ピアソラ以上の演奏が出来ずに終わってしまう。
アストルに告ぐ。
後に続く演奏家はこの楽曲に於いてあなたを越えられずにいる。
真の「自由さ=Libertad」はピアソラにしかわからないものなのか?
【クレモナ】はどう解釈するか、についてはまた来週。
「Libertango」だけがピアソラじゃないねんで、とわたしは声を大にして言いたい!
「ルーク・カフェ」に来ていただければ、五重奏の編成での「Libertango」を聴いていただくことができます。
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