主任焙煎士のぴかりんです。

生豆にはたくさんの水分が含まれています。
焙煎はその生豆を火によって熱せられます。
熱せられると豆の中に閉じ込められた水分が水蒸気になります。
この水蒸気は豆の中にたまって、圧力が大きくなると一気に外に放出されます。

この時の爆発音が爆ぜる音で、いわゆるパチパチという音です。

【クレモナ】では、この爆ぜる音を頼りに火の入れ方と時間を調整しています。

火を入れて10分前後で1つめの爆ぜ音がします。
低い周波数の音で、多くの倍音を含んだ豊かな響きのある音です。
持続時間も長く、ゆっくりと高い音になって次第に低い音になっていきます。
この爆ぜ音が終わるとしばらく沈黙の時間が続きます。
豆は静かに窯の中で心地よい艶のある色へと変化していきます。

その後、突然やってくるのが2つめの爆ぜ音です。
先ほどの爆ぜ音と比べて、力強く、高く、テンポの速い音が特徴的です。
この2つめの爆ぜ音は、澄んだ音が特徴的で爽やかな響きの中に微かに高音の倍音を含んでいます。
持続した音は、次第に落ち着いてきて静かに終了いたします。

物理的には、1つめの爆ぜ 音は矩形波となっており、2つめの爆ぜ音は正弦波となっています。

私たち焙煎士には“絶対音感”が必須です。

燻された豆に直に向き合うには、温度計やストップウォッチなどの数値による客観的なデーターよりも、焙煎している音によって豆の状態を把握するスキルを必要とします。

そのスキルとは耳です。

それは単に焙煎する音を聴くだけでなく、焙煎機の中から発せられる音を聴き分ける力、音場に寄り添い、構成音から聴きとらなければならない微かな倍音を聴き分けて、客観的にとらえる力を必要とします。

豆の状態による周波数の波形の変化を見逃さない絶対的な集音機である耳を作り上げるには、日々のトレーニングが必要です。
たくさんの音からなる焙煎音に対して、向き合う匠の技が【クレモナ】にはあります。この技は『倍音調整焙煎法』と呼びます。