土曜日、無事に服部緑地野外音楽堂でのコンサートを終了することができました。
最悪のコンディションでタンポで穴をふさぐ管楽器は本当に演奏しにくかったと思います。
それでも、積極的な音楽をステージで作り上げることができたのは評価できると考えております。これから月末のレコーディングに向けてしっかりと準備作業に入り、とびっきりのクリエーションでお届けいたしますね。
「積極的な演奏」ができた。
さて、気になる演奏ですが、非常に積極的な演奏だったというのが私の一番の評価です。「積極的な演奏」というのが少し分かりにくいのでご説明しますと、常にテンポを自分たちで作り続けているということで、音楽的な流れに身を任せっぱなしではないことを意味します。
この自分たちでテンポを作り続けるというのが非常に難しいことで、音楽ってなんとなく流しながら演奏することって結構簡単にできちゃうし、そうやって仕事をしている人もたくさん居られたりもします。でも、クレモナではそれはダメ。
世の中にある音楽の90%以上はテンポを生み出す必要のないもので、特に指揮者のいないアンサンブルのような音楽で、演奏者自ら考えてテンポを表出しないといけない現場となるとほとんどゼロに近い状況だと言えます。
なのでクレモナでは必ず、メンバー全員がマイテンポを持ってクリエーションすることを求めらます。演奏家として常に自分たちで進めなければいけません。前に進むということですが、これが結構大変。というのも、これまでの学習過程でテンポを作り上げるということを求められることがなかったというのが本質的な問題。強い意志に合わせるという事ばかり叩き込まれている演奏家にとって、自分でテンポを表出する作業がみんな苦手みたいです。
音楽の足元をイメージする。
今回のコンサートでは、テンポを感じる足元に注意しながら演奏をしました。足元というと少し分かりにくいのですが、人が歩く時でも同様ですが、足元が軽くなければ重たくなるじゃないですか?ぬかるみをテンポよく歩けないと同じで、演奏時も足元を軽くイメージする必要があります。
これが、テンポの重たさになって表出されます。テンポは早いのに重たく感じる(私たちは”もたる”と表現しますが)事って、実際の現場では多々あります。そういった音にならないように徹底的にテンポを考える作業を常に繰り返す必要があります。
これを”アップビート”と言い、このブログでも繰り返し皆さまにお伝えしています。今回のステージは演奏者のバックには壁などもなく、大雨の屋外という普通では体験しない演奏環境です。そのような場所であっても演奏が成立するのは、マイテンポにあり、常に早く感じとる”タイム感”だということです。普通の演奏家なら、そうはいきません。絶対に!
という訳で、テンポ感がよかったのはご理解いただけたと思います。でも、音楽の要素の中でテンポというのは、重要ではありますが、それよりも重要な要素がたくさんあります。 このお話は次回、じっくりとお話をいたします。
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