定期公演の練習が始まりました。今回、コンサートの冒頭で演奏するのが、「天使のグルーヴ」という作品で、現在仕込み作業をしているところです。
どうしてもコンサートの始まり方と終わり方って、妙な間があるじゃないですか?最近は少なくなりましたが、緞帳や引き幕があるような場所なら良いのですが、コンサートホールではなかなか間抜けな時間となります。
そこで、今回はコンサートが始まる前から、つまりメンバーが舞台に登場する前から音楽を始めていこうと考えております。いわゆる「入場SE」を使用するということになるのですが、普通のクラシック音楽のコンサートでは見かけないことをするので、結構センスが問われると思うんです。
さらに今回は、都会の喧騒も音楽に取り入れるべく、あれこれと収録しております。「サウンドインスタレーション」ともいうのですが、普通では体感する事のない異質な音空間を演出します。
しかも、その音を支配しているのが三拍子で6小節のリフ。今回は、MIDIで作成した「ピアノトリオ」による演奏データを流すことにし、50年前からあるような「ミニマル・ミュージック」とは少し違って、音楽的に近づけました。
どこにでもあるような音楽なのに、少し足りなかったり、字余りになってりと少々厄介なリフに支配されながら音楽は進んでいきます。メンバーにはそれぞれ変化するリフを演奏しながら、アドリブを回していくことになっています。
この変化するリフというのが面白くて、テンポやサイズは同じなのに、少しずつ変化するようになっています。まるで流動体のように、形を変えていく音楽に耳を傾けてください。もちろん、メンバーそれぞれのアドリブのソロも必聴ですが、全体を通して天使がちょっぴり顔を出してくれるように仕上げていきたいところです。
そして音楽は転調してから再現部に進み、これから始まるコンサートが振れ幅の広い音楽なのだと予見できるような雰囲気を醸しながら突如と終わりを迎えます。
音楽の長さや、テンポなどが決まっていないアドリブや、入場に要する時間など、予測ができません。当日やってみないとわからないことばかりなんですが、それをMIDIと合わせるのって意外と難しいんです。
あらかじめ、回数などプログラムできれば良いのですが、それでは予定調和でしかなく、先端のクリエーションのクラシック音楽とは言えないですよね。そこを何とか上手にやりこなせるのが技術で、恐らく国内のクラシック音楽の演奏者で、しっかりとこなせる演奏者はほとんどいません。
管楽器の演奏者においては、クレモナだけかも知れません。
では、どうしてクレモナができるのかというと、日頃から徹底しておこなっている「トランスクライブ」の成果とも言えますし、アンサンブルをする時に楽譜の「ボイシング」にこだわっているからだと言えます。
この辺り、現場でしか学べないことですが、クレモナは明らかに次のフェーズに入ってきているし、演奏の質も格段に向上していると言えます。
ぜひ、定期公演では、コンサートの冒頭の曲「天使のグルーヴ」にも、着目してください。
2022.11.13 監督かじくん
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