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依頼演奏においてクレモナが心掛けていること

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

依頼演奏と、自主公演というのがあります。依頼演奏は、予め決められた時間にお伺いして演奏をしてギャラをもらって帰るという仕事です。一方、自主公演というのは、自分たちでリスクをとってコンサートを開催し、チケットを売って収益をもらう仕事です。

 多くの演奏家の主な仕事は依頼演奏になり、対象者は子どもから老人まで幅広く、依頼主の要望に応じてある程度の選曲も柔軟に取り入れて、喜んでもらえるように仕上げるのが基本路線。

すべてオリジナルアレンジする

 この日の練習は依頼演奏の準備となりました。今回演奏するのは30分のステージとなっており、私たちはそのステージのために2時間の練習をしました。またこの練習のために楽譜の準備、今回はリクエスト曲があったので、その編曲作業も入っているので、準備にはざっくり8時間ぐらいかけております。

 この準備作業も経験を積むとかなり短くなるし、市販の楽譜つまり「出来合いのもの」を使用するともっと短くすることは可能ですが、クレモナでは、ギャラを頂戴する仕事では、市販の楽譜を使うことはありません。全て自社で準備する。これが基本です。

 少し考えてみるとわかると思いますが、一流と言われている料亭で、スーパーで売っている「お惣菜」が出てくるのと同じことです。美味しければ良いとか、コストがおさえられるという問題ではなく、演奏家としての立ち位置の問題ですので、ここは譲れないポイントでもあります。

 結果としてギャラは高くなりやすいのですが、良いものというのはそういうものです。

全くクレモナを知らない人に、感動を伝える

 さて、この日は全くクレモナを知らないお客さまに、しっかりと喜んでいただけるように、感動をお届けするということを最重要の課題としました。

 感動というのは、わかりにくい概念ではありますが、美しい演奏を聴いて感じてもらう。つまり、「お客さまに何か持って帰ってもらう」ということに標準を合わせております。

 この感動がなければ単に「上手な演奏だけ」となってしまいます。今の時代に、上手なだけというのは、なんの価値もないということと同じで、生身の人間がする必要のない行為だということになります。

 でも、人が感動するシーンを想像した時、お酒飲んで美味しいもん食べて、ワイワイしている時に、人って感動するでしょうか?私の経験からいうと楽しい時間ではありますが、感動する時間ではないというのが率直な印象です。

宴席でも何かを持って帰ってもらう演奏

 それでも、何かを持って帰ってもらえるように創意工夫するのが演奏家の大切な仕事で、美しさを表出していきたいと、今シーズンはそのことを徹底的に取り組んでいます。

 まず、「美しさ」の定義づけですが、「身体が音楽を聴いて鳥肌が立つような瞬間」だと感じています。そこで大切になってくるのが、インターバルであったり、イントネーションやヴェロシティなどになり、そこからクレモナらしい「美しさ」を表出することができないのか考えております。

 まず、美しさを定義して、それを形にすることができたら、聴衆にも自然に私の感じているものを感じてもらえて、クレモナとの間にある種のコネクトが作れるんじゃないのかなと思っています。

 音楽を通して、自分たち以上の安らぎや信頼のようなものを感じ取ってもらえたら最高に幸せです。

 そのために、徹底的にクリアなサウンドを目指すのが、今のクレモナの大切な課題です。

「小さな音」をつくる

 次に大切になってくるのが、「小さな音」。オーケストラって50人以上の人がいて、一生懸命「小さな音」を表現しようとしているけど、私に言わせると「自然ではない」んです。無理しているといってもいいと思います。

 小さな音にこだわるのがクレモナの次のステップで、そこにどれだけの情報量を注ぎこめるのか、明瞭にできるのかが次の表現の大切なポイントになってくると思います。この話は次回のんびりとしますね。

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