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フィールについて

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

音楽的に「良いもの」を目指して。

一週間空いての公開練習でした。定期公演で演奏するすべての楽曲が出揃い、いよいよアンサンブルを通しての音楽作りの内容となります。

この時期、細部を徹底的に磨き上げるのがこれまでのクレモナのルーチンでしたが、今回の定期公演では、そういった事はしないで、ひたすら音楽の本質に肉薄する内容で、作り上げることを目標にしております。

何がなんでも、音楽的に「良いもの」を目指して取り組むということです。

上手な演奏と、そうでない演奏の違い

それでは、「上手な演奏と、そうでない演奏の違いは何か?」と、ごく普通の疑問が生まれてくると思います。皆さんはどう思いますか?本日はその辺りをご説明いたします。

専門家の意見でよく、一瞬で「上手か、そうでないか、分かる」と言われたりしますが、人の演奏を聴いてその奏者が「とっても上手だ」とか判断にかかる時間は、3秒もあれば十分です。

この一瞬で、その人の音楽がだいたい分かってしまいます。

では、いったい何処を見て(聴いて)判断しているのでしょうか?

違いは「フィール」にある

それは、その人の「フィール」を感じて言っています。

では「フィール」とはなんでしょうか?英語では「感じる」というニュアンスで使用されますが、その人の演奏が感じることができるかと言うことになります。

つまり、「I feel you」ということです。

これは、どれだけピッチが正確で、どれだけテンポやリズムが正確であったとして、フィールが悪ければ、上手に聞こえないし、不快にさえ感じてしまうし、出だし3秒で分かってしまいます。

恐らく、多くの演奏者は、楽譜上の問題でたくさんのことを考えて演奏しなければなりません。というより、演奏する全てが楽譜の問題であるのかもしれません。もちろん、それらはとても重要で、私たちの練習でも、そのほとんどの時間が楽譜に関する問題の処理に充てられています。

フィールの良し悪しとは

では、フィールが悪いとは、どういうことでしょうか?

全てなんとなくの感覚的なお話というとそうではなく、フィールが悪い人は共通してタイム感が悪いです。つまり、音楽的に一定のテンポが理解できないということに直結します。

さらに、タイム感が悪いと、他人とアンサンブルするのが難しくなります。これは演奏家としては致命的な問題にもなるので、キャリアの初期の段階で解決しなければいけません。

ちなみに、クレモナは大学を卒業して何年もこの問題に取り組んでいて、いまだに道のり半ばという感じ。良いタイム感を身に着けるという事は、膨大な努力を有することでもあります。

良いフィールを身に着けるために、正しいタイム感を身に着けるために、具体的に何をトレーニングするのかというと、一定のテンポで正しく吹き続けるという技術を身に付けなければいけません。これが難しいし、この技術が身に付いたとして、専門家以外は素晴らしいテクニックだとは分かりません。

同じ丸を4つ書くように

例えば、四分音符を4つ演奏するとして、全ての音のタイミングと大きさを揃えて、しかも同じ粒に聞こえるように、丸を4つ描くことをイメージして演奏します。

これ、めっちゃ難しくて、絶対に簡単にはできません。

この基礎がスムーズにできるようになってから、さらに音楽的なアプローチが可能になります。つまり、フィールを整えるということは、大切な初めの第一歩で、一歩目がしっかりと踏み出していないのに、二歩目もないというのが私の考えです。

少し厳しいことを言うかも知れませんが、多くの演奏家が正しいタイム感で演奏ができていないと言うことに気がついていません。なので「テクニックはあるのにフィールの悪い演奏」ばかりで、しかもそれが正しいと思い込んでいます。「ポンニチ フィール」ですね。

なので、クラシック音楽の学習者は、まず正しいフィールを身に着けることから学んで欲しいです。

クレモナに鑑みると

では、今のクレモナはどう言う状況なのかと言いますと、フィールは悪くないんです。でも、自分のフィールが周りにどのように影響を及ぼしているのか、プラスの面も、マイナスの面でも考える事をしなければならないという段階だと思います。ここまでくるのに、五年間かかりました。

それでは、どうしたらフィールが良くなるのかと言いますと、クレモナの練習でもわかるように、立って演奏すると言うことです。(ピアノなど座って演奏する楽器の方はタップをしてみてください)

クラシック音楽は、もともと舞踊と共通する要素がたくさんあり、人々の営みとしての動作を伴って表現されるものです。足踏み(タップ)しろとは言いませんが、座っていたら感じ取ることができないフィールというのがあって、それ理解できないと正しいタイム感なんかは絶対に身につかないし、理解力のある人なら、このアドバイスだけで、素晴らしい演奏家に変身したりもします。

それくらい立つというのが徹底的に大切で、私にこのことを教えてくれた先生には、今でも感謝しかありません。(もうお亡くなりになっていますが…)

何を感じるのか、どうフィールするのか?

今回の監督日誌、めちゃくちゃいい事を教えちゃっていますが、演奏家の人生を変えてしまうくらい大切なことで、良いフィールで演奏するということが、何より音楽の本質に近付くことだと私は考えております。

では、具体的に立ってどのように演奏するのかは、ぜひ公開練習に来てクレモナを見てみてください。また、何を感じて演奏しなければならないのか、本質的なレッスンが次回以降の公開練習で説明をしていきます。

絶対に、勉強になると思うので、お気軽に公開練習にお越しください。

2023年5月20日 監督かじくん

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