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「遅い」とは。

監督日誌

定期公演の練習が始まり、新しいシーズンに向けてじっくりと音作りから始まっているクレモナ。

 今回、監督として、公開練習をさらにエンタメ性を持って取り組みたいと考えており、5月の定期までステップアップをしながら、音作りの妙を皆さまにお伝えできたらと思う。ぜひ、「ルーク・カフェ」にて、練習を見学してください。絶対に勉強になると思います。

演奏家にとって一番注意されたくないこと

 それは「遅い」だと思う。

 指揮者などに「遅い」って言われるのは、結構屈辱的。特に管楽器奏者にとっては「侮辱」と受け止めるべきだと思う。

 さらに、「遅い」と注意されると、遅れないように音の立ち上がりがキツくなる人がいるけど、それではなんの解決にもなっていない。つまり、音の出すタイミングを早くするだけなのに、モタって出した音の立ち上がりを早くしてもダメだということ。

 この説明で、納得し修正できない人は、勉強を一からやり直すべき。(クレモナのメルマガを読むことをお勧めする)

 では、何を注意するのかというと、遅れる原因が「発音」の悪さになっていることが多い。(これ、絶対に有料情報)

タイミングを早くするのと、立ち上がりを早くするのは別問題

 まず、共通の理解として、どれだけ、立ち上がり、つまりベロシティを早くしようとしても、タイミングが遅いのだから、ずっと遅いままだし、立ち上がりが早くなった分だけ、音がキツくなってしまう事を共有したい。

 つまり、テンポに合わせて、今までのモタった吹き方よりも少し早く吹き始めるだけなんだけど、それが、めちゃくちゃ難しい(らしい)。多くの演奏家ができない。

 ようやく少し早く演奏することができるようになっても、妙にキツくなってしまう人が多い。特にテンポが速くなると、妙にどキツい音になってしまう。そこで、ようやく「発音」が良くないと気がつくのだけど、ガチガチに凝り固まっている人は、修正するのに時間がかかる。

ということで、音について

 昨シーズンより、「ソリッドでクリスピーな音」を、メンバーに求めてきたけど、今シーズンからは、もう少し応用的な問題に取り組みたいと思う。

 まず、ソリッドな音と要求すると「どキツい」音が出てしまうことが多い。前述した、遅れて演奏しないように注意した時と同じ。特にミディアム以上のテンポでは、音のキツさがアクセントのようになって、強調しすぎるように思う。ここでも、「発音」の悪さが目立っている。

アクセントってなんですか?

 さて、そういった質問をすると、「その音を強調する」という答えが出てくるけど、それではダメ。不十分な回答。強調すると音が重たくなるし、アクセントで重たい音は絶対にダメ。

 また、アクセントというのは確かに強調とも取れるけど、もう少し細やかで控えめなイメージで演奏しなければと思う。

 これって、お料理でもそうだけど、ちょっとした変化を付けるためにアクセントとして薬味を入れるのでしょ?その控えめなのに味が引き締まるから、素材の美味さが増すのであって、「ネギ増し増し」みたいな、どこかの下品なラーメンにされても、もはや美味しくはない。

 デザインでも同じ。アクセントにワンポイントを入れるのであって、シンプルで一様なものに変化をつけたいからといって、全身水玉にしたら、それではコメディアンの衣装になるだけ。

 芸術の表現として、「どキツい」のは絶対に避けるべきだと思うけど、間違いを犯している演奏者がめちゃくちゃ多くいる。特に東アジア人に特有な表現だと思う。ここでも「発音」がポイントになってくると思う。

東アジアの人には発音は無理

 ずっと、昔から思っている事だけど、東アジア人で優秀なピアニストはたくさんいるし、バイオリンだって同様。なのに、管楽器って上手な東アジア人って本当に珍しい。この問題を考えた時、どうしても行き着くのが「発音」になる。

 ヨーロッパや北米以外の演奏者が演奏した時って、どうしても発音が問題になることが多くあるように思う。それは、東アジア以外でも同様で、南アジアでも南米でも、演奏家の出自が色こく音色に反映されるというのは、多くの演奏で実感することだ。

 そして、インドのサックス奏者でも、ブラジルのフルート奏者でも、それぞれのお国柄が表出されていてめちゃくちゃセクシーに感じることが多い。でも、東アジアの演奏者って、普通にどキツいだけの人が多いというのが、私の率直な印象。

 当然、ヨーロッパや北米で認められる演奏家にはなれない。そして、クレモナの音色もどキツい事が目立つようになった。このままでは、世界で認められることは絶対にないので、発音がどキツくならないように修正しなければならない。

 それが、今回私たちが取り組む大切なミッション。

ではどのようにして発音を直すのかというと

 その答えは、公開練習でしっかりとお伝えしようと思っている。まずは、耳を鍛えることからになるのだけど、結局音楽って「耳の良い人が生き残る」業種だと思う。

 クレモナは定期公演の練習を通して、さらに耳を鍛えていく予定だし、そのレッスンを目の前で公開している。

 これって、めちゃくちゃすごいことだと思うし、是非とも多くの人に来てもらいたいと思う。

2025年3月1日 監督かじくん

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