定期公演に向けて練習を重ねているクレモナ。毎週練習があるので、この監督日誌も毎週更新する予定。
前回の練習では、ロマン派の音楽について「ロマン派はネオゴシックだ」と説明。この説明でピンとこない人は、公開練習をぜひ見にいらっしゃい。
また、ドイツロマン派を考える時に、バイロンの存在は不可欠と説明。当然、ゲーテなんかにも大きく影響を与えている人で、バイロンを理解していない演奏家は明らかに勉強不足だと思う。そういう人も、公開練習に来て勉強した方が良い。
さて、本日はその続きのお話。
ロマン派、19世紀のドイツの音楽を考える時、僕はいつも、ゲルマン民族とキリスト教の融合、つまり彼らの民族主義だと考えてしまう。
19世紀初頭のナポレオンとの戦いでは、民族主義を生み出したという側面があり、その先にロマン主義が生まれたというのは、歴史的な事実だったと思う。
フランスの周辺国で民族主義的なロマン主義が生まれたことを意味する。その動きが最も大きかったのがゲルマン民族だ。また、ゲルマン民族は、キリスト教徒でありながら、自分たちの民族的なアイデンティティとキリスト教を融合せよう試みたと僕は考えている。
特に、クリスマスツリーというドイツ的な風習。しかも、ゲルマン民族のご神木みたいな「モミの木」が使用されているのには深い意味があると思う。これまでのイタリア風のクリスマスから、「ドイツにはドイツのクリスマスがあっても良いのでは?」と、考えたドイツ人がモミの木を使って、ゲルマン人らしいクリスマスを作り上げていった。
なので、19世紀後半の「国民楽派」は、ロマン派から派生した民族主義という主張は間違っていて、ロマン派自体が民族主義であり、単に周辺諸国に伝播しただけのこと。決して、突然やってきたナショナリズムではないということだ。
一方で、19世紀初頭、ドイツの若者はナポレオンに期待していた側面もある。ベートーベンもそうで、交響曲3番はナポレオンに献呈している。そして、次第にナポレオンの戦争は、市民の解放者から侵略戦争に変わり、市民からの人気は消滅し、盛り上がって行き場のなくなった民族主義がロマン派に向かったというのが僕の仮説だ。
この後の説明が知りたい人は、絶対に公開練習に来るべきだと思う。
とは言っても、本質的には、歴史的なアプローチには何の意味もなく、本来もっと作品に対してのアプローチが必要で、その辺りの理解が不足しているから、演奏にも中身が消滅していると思う。とはいえ、基礎知識として、正しいクラシック音楽の歴史は身につけなければならない。
また、美学的に考えて、クラシック音楽を何かの基準を満たしているから美しいんだという考えは、受動的で気に入らない。その辺りの美学については、フルトベングラーを紹介しながらお話をしたいと思うので、ぜひ公開練習に来るべきだと思う。
という感じで、歴史を整理すると、ゴシックの時代、ゲルマン人らしい文化が花開いた。これは、日本でいうところの「国風文化」みたいな現象で、その後も時々、その原点に帰りたくなるみたいだ。それが、「ネオゴシック」としてドイツ圏で花開いた「バロック文化」だ。
そして、今話題となっている「ロマン派」も、ネオゴシックとして考えて良いと思う。当然、バロックから進化したネオゴシックなんで、さらにモリモリ。ある意味胸焼けがひどくなりそうな音楽と言えるのだけど、意外にウケが良いのでかえってタチが悪い。
今回の練習では、具が大盛りの「冷やし中華」のバロック音楽から、「二郎系全部ましまし」のロマン派音楽について解説するレッスン。絶対に他所では教えてくれない、超有料級の内容。絶対に遊びにいらっしゃい。
20250309 監督かじくん
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