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音楽の表現と味覚のこと

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

タイトルから得られる先入観にとらわれない。

 現在、クレモナではピアソラ作曲、組曲「天使」を取り組んでクリエーションしています。この楽曲は演奏される機会も多いので、お聞きになった経験がある人もおられると思います。

 本日は「天使の死」という作品でした。作品のタイトルにもありますが「天使」だとか「死」という言葉は楽曲を理解するうえで、重要にはならないので一旦、脇に置きます。その理由は、先入観に囚われすぎることなく、楽譜を考える事が大切だと私は考えているからです。

「Espressivo」

 では、今回の作品ですが、これがめちゃくちゃ美しい楽曲です。本日は音楽を立体的に捉えることを中心にレッスンをしました。 中間部のゆったりとしたパッセージをどれだけ歌い上げるかが、ポイントになる楽曲です。今回は、「Espressivo」を大切に作り上げる予定です。

 「Espressivo」とは、イタリア語の楽語で、表情豊かにと言ったニュアンスで使用されます。ゆったりと甘く切なく歌い上げたいという意味です。

 この楽曲では、「Espressivo」を大切に取り組むのですが、ゆったりと歌い上げると、どうしても失速して墜落してしまうというリスクがあります。高度のある音域で伸びやかに謳うのは技術的に苦労することはないのですが、低空飛行で推進力をもって水没しないように歌い上げるには技術を要します。

甘い音色

 さらに、甘い音色についても考えなければいけません。音という空気を振動させる現象に味覚的なニュアンスを表出させる必要あります。普通の思考で考えても絶対に答えは出てこないのですが、クラシック音楽の現場では常に求められるスキルです。

 実際にどのようにして「甘さ」を音にするのかと言いますと、現実的に口の中を甘くするイメージから入ります。アイスクリームを口の中に入れた感覚ってよくわかるかと思いますが、演奏しながら、口の中が甘くなることを想像します。

 たった、それだけです。

「食べることが好き」は音楽のミソ

 管楽器は口を使って息を吹き込むのですが、その時の口の中のイメージは常に味覚と連動するようになっています。当然、幼少期から訓練されるのですが、皆んな甘いものが大好きなんで、すぐに身に付ける事ができます。

 でも、最も大切なのはその時の表情です。もっと詳しく言いますと、顔の周りの表情筋の使い方になるのですが、甘いものを食べている表情にしなければなりません。いくらダイエットをしているからといって、顰めっ面していては「甘い音色」にはなりません。

 そして、音楽を聴く人も音だけを頼りに音楽を知覚することはありません。意外にも視覚的な要素が重要になってきます。つまり、甘い表情で甘い口をして演奏している音色は「甘い音色」として認識されるみたいということが分かってきています。非常に面白い現象です。

 食べる事が大好きなクレモナでは、音楽の表情をつけるという技術が優れていると言えます。いつもメガ盛りを食べている女子ですが、こう言ったところでは役に立つこともあるということですね

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