「ピッチ」が悪い


 本日もサックスのみーこが参加できなかったので、三人での練習となった。まず、組曲「天使」の楽譜が完成している3曲を見直す形で練習は進んだ。

本日のテーマは「ピッチ」

夏はまだまだというこの段階で、ピッチが大変なことになっていたのには、個人的に衝撃を受けてしまった。いつも思うことなんだけど、練習の段階でピッチの話をすると、前に進まない事になるので、なるべくしないようにしたい。ただ、ピッチに目おつぶって進めていく弊害もあるので、本日はその解説をすることにする。

 まず、アンサンブルという調和を重要視するジャンルの音楽において、誰かがピッチが悪いと、演奏者は気が付かないうちに、その悪いピッチに合わせようとする。そうりゃあ、そうでピッチが狂っている状態のままでは気持ち悪くなるのだから、仕方がない。

 今夜みたいに、誰かが高くなると、気持ち悪い感覚を補正するように、高い音に合わせるようになってしまう。これが結構危険。

 というのも、長時間の練習で、普段一人でやっているのとは違うピッチで吹き続けるのだから、体のどこかに無駄な力を入ってしまう。そうして、練習の後は、唇が痛くなったり、喉が痛くなったり、あるいは表情筋がこわばったりと、身体的な影響を及ぼすことになる。

 その結果、アンビュシュールが崩れてしまったり、調子を崩す原因にもなるので、この状態を放置しておくのは危険とも言える

 「そんなシビアなことを言っても、一般の聴衆にはピッチなんて気にならないよ」というご意見を耳にすることもあるけど、それは違う。

 なぜならば、ピッチが悪くなると、途端にお客の集中力が落ちてくるというのを、私たち演奏家は何度も経験しているからだ。逆にお客さまが演奏に集中してくれない、つまり客席がなかなか温まらないという現象の多くが、ピッチの悪さに起因していることがある。

 なので、クレモナのような少人数で演奏するアンサンブルのユニットは、徹底的にピッチを見直す作業を大切にしている。


 テンポや歌い回しといった問題は、最終的に、良いとか悪いとかではなく、好みの問題になる。つまり、一方的な間違いも存在しないし、絶対的な唯一の正解というのもない。

 でも、ピッチとタテの線は、合わないより、絶対に合ったほうが良い。そこには、唯一の正解が存在するからだ。

 正しい状態という明確な正解が存在する問題は、克服しなければならないと私は考えている。

 そして、良い音楽監督は自分のバンド(オーケストラ)をしっかりと育て上げている。バーミンガム市響のラトルにしても、モントリオール響のデュトワにしてもそうだけど、地方のオーケストラだった楽団を世界的なオーケストラに育て上げた。


 かくいう私も、クレモナを一流のユニットに育て上げるためには、ピッチとタテの線を徹底的に追求していかなければならないと、練習を終えて静かに内省している。

 この夏のコンサートでは、これまでにない素晴らしいピッチで演奏をお届けしたい。

2022.05.16 監督かじくん

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