空間に合わせた音楽を。特にダンス・ミュージックは。

今夜の公開練習は、先週に引き続き3人となった。ホルンのあやめちゃんが欠席して、残りのメンバーでお届けとなった。

 3人ということで、いつまで経っても新曲のテンポと強弱を決定することができないまま、それでもできる限りバランスとテンポの解釈についてのレッスンだった。

 ここで大切になってくるのがテンポ設定だけど、クラシック音楽の場合、演奏する会場の大きさによってもテンポは変化するので、一概には言えないが、最終的に判断するに至るまでの解釈が大切なので、備忘録的に解説をすることにする。

 テンポというのは様々な要素で決定されるのだけど、今回取り組んでいる楽曲は「ミロンガ」という、ややゆったりめの指示がなされている曲になっており、ゆったり男女が踊る様子を想像してみると分かりやすくなる。

 男女が踊るということは、その他の民族的な楽曲でも同様で、ちょっぴりエロチックになってしまう。「もっと踊っていたい」という願望も満たさなければならないし、「もっと接近して踊りたい」という気持ちも大切にしなければならない。

 当然、楽曲は後半になるにつれてテンポは速くなる。リードする男性は大変。それでも、テンポが上がったからといって、足がもつれたりするのはモテない男のすること。どれだけ苦しくても、涼しい顔をして踊るから、タンゴは楽しい。

 この辺りピアソラは男女の楽しみ方をよく心得ていて、演奏する方は、素直に楽曲と向き合えることができれば、テンポは解決する。ここで、素直に音楽を解釈できるというのが、これまで培ったクレモナのスキルだとも言える。

 一方、ピアソラのキャリアの初期では、「踊れないタンゴ」と酷評されたみたいだけど、それは実力のない踊り手のぼやきに過ぎないと私は解釈している。


 「同じテンポで演奏するというのは、面白くない。でも、テンポの指定が楽譜にない。」という意見を耳にすることがある。ずっと同じテンポをクラシック音楽では「オナテン」といったりするけど、聴いていても、演奏していても退屈だ。

 実際にその空間で誰も踊っていなくても、楽曲に合わせてテンポは決まってくるし、何より楽曲にふさわしい終わり方をする必要性があるというのは、本能的にみんな理解していることだと思う。

 これは、クラシック音楽に限ったことではなく、バレエ音楽やロックンロールでも同様、今ではあまり生演奏では踊ることのないジャンルだけれども、楽曲にふさわしいテンポの変化を知らず知らずに取り入れているし、当然聴いている方も、それを求めていると思う。

 もちろん、タンゴもテンポは変化していくし、同じテンポでやり続けたら、ラジオ体操みたいな音楽でしかない。 相応しい曲の終わり方を求めて音楽は進行していく。そりゃそうで、音楽は演奏を終わらせるために時間をかけるのだから。曲が終わって、拍手をもらう時の満足感。これが何よりも演奏の醍醐味であるのだから、その為に私たちは練習しているといっても良い。

2022.05.23 監督かじくん

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