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数値にこだわるという事について考えていますか?

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

 音楽において数字を活用すると言うのは、さまざまなシーンがあると思います。実際クレモナの現場でも常に数字というのを活用していると思います。

音楽における数字の活用

 例えば、メトロノームを使っての練習ではテンポは数値化されていて、そのテンポを絶対的なものとして練習をしています。また、チューニング時には基音となるAをHzを使って数値化して合わせたりもします。

 これらは、演奏する上で非常に大切だし、普遍的な存在として扱っています。しかし、演奏家としては、数字だけには囚われたくないんです。

音楽は生き物?

 以前のお話です。MIDIを使用して生演奏と合わせるのが難しいとステージで話したことがあります。多くの演奏家はそう感じているみたいです。「音楽は生き物で、テンポはその都度自由に変化する」という意見みたいです。

 でも、私に言わせると「テンポが安定していないだけ」と言うのが正直な感想。テンポが安定していないから、安定したものと合わせるのが難しいだけでしかなく、アンサンブルをする上で大切な第一歩がいい加減な演奏家だと言うのが私の率直な意見です。なので、クレモナではまずしっかりとテンポに合わせることを第一に取り組んでいます。

テンポ感について

 でも、実際のコンサートではメトロノームを使ったりしません。イヤモニでクリックを頼りに演奏する方も居られたりもしますが、クレモナではそういったことはしません。生演奏はもっと自由に表現するべきだと思うからです。 では、前述の「音楽は生き物だ」という演奏家のテンポ感と、クレモナの取り組みは同じものだというと、それも違うんです。本日はそこを解説いたします。

「音楽は生き物だから」=ワガママ

 まず、生き物だと思って自由なテンポ設定は、ある意味でワガママであり、出たとこ勝負でしかないと私は感じています。テンポはそんな適当な決め方をするべきではないし、生演奏だから考えないといけないテンポ設定の必然性があるからです。

 つまり、どうしてこのテンポになるのかが絶対的に大切であり、帰結に至る必然がなければいけないと言うことです。また、テンポを決定するために必要な要素というのは、それは会場の大きさであったり、お客さまの人数であったり、お客さまの状態であると考えております。

場所によって変わるテンポ

 例えば、上行系のパッセージが続くような音楽の最上階で、視界が一気に広がった様子を表現したい箇所があった場合、狭い会場と広い会場ではその時のテンポは違ってきます。

 当然、前者より後者の方がゆっくりなテンポになります。つまり、演奏者の勝手な判断でテンポを決めるのではなく、お客さまにとっての最適性から判断するものがテンポだということです。これを理解していない人がたくさんいて、そういった演奏はたとえ素晴らしいテクニックがあったとしても、感心したものではありません。

 最適なテンポで演奏することにより、お客さまの理解が深くなるし、表現の説得力が増して、結果的に伝わる音楽になるということです。だから、クレモナではテンポの設定に対して徹底的に拘りたいと考えております
 非言語だからこそ、演奏者はより伝えたいという気持ちが大切になってくるし、多くの人に伝える気持ちが、まず大切だというのが私の持論でもあります。

2021年09月12日 監督かじくん

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