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生の音?そんなことより「生きた音」 

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

 いよいよ来週となりましたクレモナの新しいレコーディング。めちゃくちゃ準備作業が大変です。まず、レコーディングについて簡単にご説明いたします。

【マルチトラック録音】でより新しい音響を目指します。

 今回はスタジオに入って、メンバーそれぞれが別々のブースに入って録音します。その時メンバーはヘッドフォーン越しに各メンバーの音を聞きながら演奏します。各ブースからはセンターブースにいるぴかりんしか見えないという環境になっています。

 また、演奏の開始の合図や、伸ばした音の切るタイミングなどは、バンドマスターを見ながら空気を読んで進めていくようになっております。

 こういう録音をマルチトラックと言いますが、利点としては録った音をそれぞれに編集をしたり、調整することができるということです。全員一緒の室内にいて「せぇーのっ!」って、録ってもある程度は調整したりすることは可能ですが、クレモナの場合、今後様々な活用などを考えると、マルチでレコーディングすることとなりました。

 狭いブースに入って、ただひたすら自分の音と向き合うのは非常に大変な作業ではあるのですが、ここは絶対的なプロ意識で乗り越えていくところだと考えております。そりゃあ、そうですよね。いつもの練習と同じように、お互いの顔を見ながら進めていくほうが絶対に楽だと思います。でも、そこあえてブースに入ってマルチトラックにこだわるのかというと。

「生きたテンポ」での演奏をしたいと考えているからです。

何度も言っていますが、意思を持たなくても演奏は可能。自分のテンポがなくても仕事として成立している演奏者もたくさんいます。でも、クレモナではそれだけでは不十分だと言うこと。

 メンバー4人が、自分たちでテンポを作り自ら進んでいく、つまり自分の足で歩くことが何よりも大切で、クレモナが大切にしている自分たちの意思としてテンポを感じるということです。

 テンポが生きてくると、表現もイキイキとしてきます。これを私たちは「生きた音楽」と言ったりします。以前、「生の音」と「煮た音」の違いを言いましたが、電子音を使うと「生音」ではないという意見もありますが、クレモナにとっては「生音」なんかよりも、「生きた音」が徹底的に大切で、どんな現場でも、メンバーそれぞれがしっかりと空気を振動させて、テンポを作り続けることも求めています。

 そんなクレモナの集大成的な作業がレコーディングであり、とびっきりの集中力を持ってレコーディングします。ぜひ、楽しみにしていてください。

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