レコーディング前の練習でした。いよいよ仕上げの段階になっております。レコーディングの日は、監督としてとことんまで音楽を追求したいと思っているのですが、実際のレコーディングに使える時間には限りがあるので、自分たちのリソースを分配しなければいけません。
本当は時間など気にしないで、何日もかけていいものができるまでスタジオにこもってクリエーションすれば良いのですが、それは現実的ではありません。
クレモナ的レコーディング方法
クレモナのレコーディングでは、メンバー各自がそれぞれ別のブースに入って、ヘッドフォーンから微かに聞こえる、息遣いを頼りに演奏します。メインブースではぴかりんが演奏していて、各自はぴかりんを、小窓から少しだけ見えるという環境です。
指揮者もいませんし、クリックを頼りに演奏することもありません。普通はこんな状況ではレコーディングをすることはないのですが、クレモナでは特別に、この環境にこだわって演奏しています。
それはなぜか?
クレモナでは、演奏のクオリティを高めるという作業と同時に、録音のクオリティも高めていきたいと考えているからです。
録音現場で、大きなブースで皆んな仲良くレコーディングするのもありなんですが、それでは個別に音を修正したりできません。最終的な作品の仕上がりは、美しく演奏しているという漠然としたものでは、全く意味のないものになってしまいます。もちろん今の時代において、美しい音だけを取り込むだけに録音をするということもあります。 でも、それだけではもう不十分な時代になってきています。
「これからの時代に求められる音楽」というのは?
具体的にいうと、もっと「近くで演奏しているような聴環境」であったり、聞いている人の「目の前2mぐらいで演奏しているような音像定位」を提供するものだと考えております。こういった作業はミックス作業が終わった後、マスタリングという作業を通して具現化します。
そして、クレモナではマスタリングを最適なものにするために、考えられる最適な録音を残すことを考えています。
音楽性を追求するプレッシャーを味わう。
さらに、限られた時間で最大の録音を残したいとも考えています。時間をかけて何度も何度も同じ作品を演奏するということはしません。朝から夜中までに予定した全ての録音を終わらせる必要があります。
楽譜を間違えないで演奏するという単純なことだけを要求しているのではなく、音楽性を追求したものでなければいけません。そうなってくると、ものすごいプレッシャーがメンバーにのしかかってきます。でも、私たちはそう言うプレッシャーを味わうために、今まで努力してきました。
最高のクリエーションで今回の録音を無事に終えるよう努めてまいります。
2021年9月19日 監督かじくん
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