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気を遣わせる監督

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

小さい時、ピアノのレッスンが怖かったっていう人ってどれくらいおられるのでしょうか?中学校や高校の吹奏楽部の先生が怖かったっている人もどれくらいおられるでしょうか?
経験者の人ならきっと、似たような恐怖体験をされていると思います。

 教師が怖いって、どのジャンルでもあるとは思いますが、ただ怖いだけではダメ。さらに、今時、ただの根性論だけでもダメだと思います。

 もちろん、厳しくて素晴らしい先生もたくさんおられます。逆に、優しくて、包容力があって、ついでに説得力のある優秀な指導者もおられるとは思いますが、ほとんど出会ったことがありません。(特にピアノと管楽器の先生は怖いという印象)

 また、スポーツの世界でも、怖い指導者が「モラハラ」などで訴えられたりもするので、世間では色々と敏感になる内容かも知れませんね。もう何年も前のモラハラで職責を追われるということも少なくありません。

 というわけで、こちらの動画

 こんな先生は、おそらくいません。ちなみにこの会場は、後ろの金色のパネルから推察すると、ウィーン楽友協会のグラス・ホールだと思います。フルコンのスタンウェイをあのような演奏法はさすがにどうかと思いますが、ヨーロッパの人から見ると、日本の先生ってこんなイメージなのかも知れません。

クレモナの場合

 ちなみに、クレモナの音楽監督である私はと言いますと、控えめにいっても「口の悪い監督」という事は自覚しています。

 どうしても、ぐちぐちと言ってしまいます。これは我慢できないので仕方がありません。その場でしっかりと注意をするのが大切だと思っているし、なんなら「一言多いのが仕事」だとも思っています。

 その一言で、得られる結果が変わってくるのなら、絶対に言うべきだと思うんです。この結果が違ってくるという判断する能力というか、センスが必要な職種だということです。

余分な一言は時に重要となる

 ちなみに、「余分な一言」が、しっかりと記憶に残っていたりして、実際の演奏する場所が来た時に、その記憶が引き出されるという経験は、演奏したことのある人ならあると思います。

 もちろん、世の中の指導者には、物事を民主的に決める人もたくさんおられます。音楽においても「次のテンポは早くするのか、ゆっくりとするのか民主的に決めましょう」と、いうこともできるのかも知れませんが、私は絶対にしません。

 100%の自信を持って音楽を決定させる。レッスン時には「独裁者」にならなければなりません。当然、レッスンが終わると「普通の偏屈なおっさん」にすぐに戻るのですが、クレモナではそういった切り替えが全員(多分)得意です。

 また、世の中には、勘違いをして、「自分は偉い人間だ」と思う人がおられますが、それは絶対に間違い。カラヤンも最後はオーケストラのメンバーから「NO」を突き付けられたのですから!

自分のもの、ではない

 さらに、音楽監督をしているオーケストラのことを自分のオーケストラだとか、自分の団体という言い方をする監督もおられますが、個人的にそういう人は感心しません。監督は音も出さない、ただの水先案内人でしかないので、演奏者に対して敬意を払わなければならないと私は考えております。

 年齢も離れていたりすると、謙虚になれない人が多くおられますが、プロフェショナルの世界では通用しません。

 では、私はどういった監督を目指しているのかとお話をしますと、「気を遣わせる監督」というのが個人的な目標です。一見先ほどの意見と矛盾しているように思われる人もおられるかも知れませんが、少し違うんです。

 もし、メンバーが「あいつの言っていることは適当に聞いておこう」と思ったら、どれだけ大切な注意をしてもメンバーの心には入ってきません。つまり、「こいつのいう事は真剣に聞かなければならない」と、皆んなが思う必要があります。

気を遣わせるということ

 以前のお話です。とあるオーケストラのシェフに「あのコンマス、気を遣いますね」と、言ったところ、マエストロはすかさず私に「馬鹿野郎、気を遣うのではなく、気を遣わせるんだよ」とお話ししてくれました。

 なるほど、そういうことか!(この頷きには深くて長い意味があります)

 かくいう私も、お互いのリスペクトとして、気を遣わせる監督になりたいと考えております。

 今年は、しっかりと結果を出していくことを目標にクレモナの練習をしていきたいと思います。コンサートに聴きに来てくださったお客さまに、しっかりと感動を持って帰ってもらえるように、頑張っていきたいです。

 ぜひ、会場でお目にかかりましたら、お声がけくださいね。

2023.01.07 監督かじくん

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