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ピアノを弾く人へ

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

キツいことを言うようだけど、コードを適当に押さえて音楽って言っている、ポンニチのシンガーソングライターじゃないのだから、しっかりと音楽を理解しなくちゃだめ。

なお、この監督日誌は、プロとして活動しているクレモナに対しての意見であり、アマチュア愛好家の方や、学生の方の演奏に対しての話ではありません。

「歌ものを演奏するということ」

テンポが一定ではない部分を、ルバート(伝統的なクラシック音楽ではレチタティーヴォとも)と、言います。本日はルバートの演奏について話します。

この、ルバートをする場面は、ヴァースの場面になることが多いです。

ヴァースというのは、メインを歌う前にセリフ的な部分や、ポンニチのポップスでいうところの、Aメロ、Bメロと言ったりする場所で、メインに繋ぐ導入部分のことを言います。

コードも複雑ではなく単純だけど、音楽的にはオペラやミュージカルの時代からとっても大切にされている箇所です。

ですが、時代とともに、その演奏習慣の中でヴァースは歌われなくなってしまって、今では大切に歌われているバースは少なくなっています。パッと思い浮かぶのは、「Stardust」ぐらいな印象。それ以外ほとんどのスタンダードは、今ではいきなりフォームから演奏されています。

さて、このバースをヴォーカルとバッチリ合わせるということですが、まずは歌詞をしっかりと知らないといけません。

タイミングをしっかり合わせるために、歌詞を知らないと絶対に無理。また、演奏者として歌詞を理解しないといけない理由は他にもたくさんあるのですが、一つはこういうことです。

もちろん、歌い手もコードを知らないと歌えないのですが、この話はまたの機会にしますが、大切なことは、お互いに相手の仕事を理解するということになります。

相手の仕事を理解するということは、相手を邪魔しないということになり、特にメジャー7thなどでリハーモニーをする時など、ヴォーカルに入ってほしくないタイミングというのがあるのですが、その辺りもしっかりと意思を醸し出す必要が、楽器を演奏する人に求められるスキルです。

また、テクニックの観点としては

ピアノの音域を最大限に活かしたいですね。つまり、音の幅(レンジ)を広げて、世界観を表現したいと言うことです。

一方で、そのように注意すると無駄にアルペジオなどを多用するピアニストがいたりしますが、非常にセンスのない演奏だと思うんです。

単音のスペースをリッチに表現する技術がないのは、ようく伝わってきますが、明らかに音楽の理解不足だと思います。

また、単音の方が説得力があるし、緊張感がありますが、盛り上がってきたら何故か和音を足すというのは、ポンニチっぽくてダメです。

求められるのは、次の和音を生かすと言うことです。

つまり、曲を理解すると言うことであり、ただ、コードを見て演奏することは絶対に禁止です。

また、和音を全て弾くというのは、とーしろのギター弾きのコードじゃないのだから、何をゴーストさせれば、次の和音がより魅力的になるのかを考えてほしい。

普通ピアニストは、打鍵の速さと深さを研究するのだけど、最近のピアニストはコンピュータで作られた音に影響されすぎて、全てが大きすぎる。これは、管楽器でも同様で、打鍵の速さと深さ、ブレスとタンギング、というのは、常に親和性を持って考えなければいけないし、その辺りが理解できていないのは、ただデカい音となり聞けたもんじゃないです。

ダイナミクスとエナジーの幅を考える

音楽を演奏する時に最も考えて欲しいのが、ピアニシモが美しさだと思うんです。美しい表現がなければ、もはや人間が演奏する意義はないと私は考えているからですが、そのために、音楽全体を俯瞰して、どこにエナジーをこめていくのかを決めて、ダイナミクスのレンジを考えなければいけません。

当然、音ののばし方と響きが大切になります

管楽器奏者ならわかると思うけど、自分が息を入れていないと音が消えてしまうという感覚は、みんな持っていると思います。ピアノのペダルを踏んでいる時でも、管楽器の息を入れているという意識と同じような感覚を持たないといけないし、ギターのストロークか何かで、音をジャーンって鳴らすようなのは、もはや音楽とは言いません。

自分の音が聞けてなくて、どこに音が飛んでいっているのかも想像もしていない。つまり、音のスペースを理解した上で、次の音を演奏しないと、空っぽな音になってしまう。これはもう末期症状だと思う。

意識することが、和音の意味の理解にもつながるし、理解した上でリハーモニーをすることが、自然な主張を表出させる第一歩になり、歌手や他の演奏者や、お客さまにも、自分たちの音楽の説得力が伝わると思う。

この辺りの事は、もっと早い段階で教わってこなければいけない事だし、遅すぎるということではないのだけど、初歩的な事を理解していない事を反省し、次のフェーズに突入するようにして欲しいと思う。

2023年8月4日監督かじくん

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