今の時代、普通ということは退屈でもあると言える

 先日、兵庫芸術文化センターKOBELCOホールにて演奏をしました。有観客で1600人と言う非常に規模の大きなコンサートで、クレモナは1時間びっちりと演奏をさせていただきました。

「いつもと同じバランス」が難しい。

 リハーサル時より、無理に音を出すのではなく、バンドの中音をしっかりと作り上げて、そのバランスを維持させたまま演奏することを徹底しました。このバランスを維持させると言うことが非常に難しいんです。たった四人しかいないのだから、「いつもと同じバランスで演奏するだけ」となるのですが、これが意外にできないもんです。

 普段と違う響きになるだけで、メンバーも知らないうちにいつもより大きく演奏したりします。物理的な音量も上がりますが、その音も力んだものになってしまいます。力んだ音になってしまうと、音に角が生まれて、他の音とは混ざりにくくなってしまいます。

 ほんの些細な変化でも、大きく影響を受けてしまうから、生楽器での演奏のバランスというのは難しい。常に同じ吹き方で同じバランスで響かせるという訓練が必要になってきます。

自分たちの聞いているバランスと、お客さまが聞かれているバランスが違う。

 そうして臨んだ今回のコンサート。非常に良い演奏であったとメンバーも自負していますし、実際のお客さまの反応も良かったと言ってもらえています。

 また、メンバー的には非常に良くできたバランスだったみたいですが、聞かれた方からの感想は少し違っていて、必ずしも私たちが求めている完璧なバランスではなかったのかもしれません。


どうしてバランスが崩れてしまったのか考えてみましょう。

 リハーサルでは、概ねバランスは取れていて、ブレンドされた響きになっていました。ただ、この響きを安定したバランスというものではなく、辛うじて形がキープされただけと判断しなかった私に落ち度があります。

 また、本番では多くのお客さまがおられるので、当然響き方も変わってきます。当然、メンバーの吹奏感や、聞こえ方も変わります。そこに演奏者本人が自覚できないくらいの変化が起きたというのもあると思います。

 ではもし、リハーサル時にバランスを徹底するように、細かなチェックをすることができたらどうでしょうか?それも考えるのですが、まずリハーサルの時間的な問題で、徹底したバランスをとることは不可能だし、本番の朝にそれをやってしまうと体力も気力もヘトヘトになり、素晴らしい演奏を期待することは難しいと予想します。

ヨーロッパで活躍するトップ・プロならできる技術。

 こうした今のクレモナの課題点は、レコーディング時でも多く指摘されたし、前回の定期公演以降、進化はしているものの同様の課題を取り組んでいます。

 シーズンを通して取り組んでいる大きな課題ですが、現在も進行形でぶち当たっています。もちろん、お客さまが聴いて判断できるようなものではないのですが、ヨーロッパで活躍している超一流と呼ばれるトップ・プロは身に付けているものです。当然、超一流を目指しているクレモナとしてはしっかりと取り組みたい大きな課題です。

普通のオーケストラや室内楽なら要らない技術です。

 また、普通のオーケストラや室内楽の世界ではここまでサウンドにこだわることはありません。もちろん、大学教育の現場でもそう言ったことを教わることはありません。サウンドを気にしていない、あるいは気がついていないとも言えますが、そこを探求する必要性を感じていないというのが率直な意見だと思います。

 なので、多くの演奏家は面白みのない退屈な表現になってしまいます。もちろん、プロの演奏家なので、上手に演奏はできるし、美しい音を出せる人もたくさん居られます。でも、それだけでは徹底的に足りないんです。

 生身の人間が、管楽器を生演奏するということは、このサウンドを徹底的に磨き上げなければ意味のないものになると危機感を抱いています。さらに、そうやって危機感を抱いて取り組んだ演奏家だけに未来はあるのかもしれません。

サウンド感を聞いてほしいです。

 次回以降のクレモナの演奏を聞かれる時に、どうぞサウンド感について耳を傾けてもらえると、いっそう楽しいものになるかもしれません。皆さまにお会いできることを楽しみにしております。

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