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アナログであっても、デジタルであっても、位相について考えないのは、お客さまを冒涜することになります

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ


 昨日は服部緑地野外音楽堂の下見と打ち合わせに行ってきました。打ち合わせ時には、タイムテーブルと音響の回路図、さらに搬入車の乗り入れ申請書と、物販の許可申請を行います。普通の打ち合わせは、室内(事務所)でじっくりとするものですが、今回はコロナということもあり、野音のステージの上で、ソーシャルディスタンシングをとっての打ち合わせ。初めての経験でした。

「服部緑地野外音楽堂」という会場の魅力

 ステージの上までしっかりと屋根があるので意外と響きが良く、日比谷の野音などと違って、すり鉢状の座席も好都合。お客さまからメンバーもしっかりと見ることができるし、何度も言っていますが、見ることは聞くことでもあるので、この会場はクラシック音楽を演奏するのにぴったりな環境だと思っています。

 さて、ここでの音作りは意外にシンプル。いつも通り、しっかりと楽器を鳴らすということだけで、大切になってくるのは立ち位置と、奏者の向きということです。

 この動画でもわかるように演奏者は基本的に常に同じように音を出しています。違うのは立ち位置であったり、向きであるのですが、クレモナでは「プランA」という奏者間が狭いものと、「プランB」の奏者間を広くとっているものがあり、向きはその都度調整していきます。曲中でも少しワイドに取ってみたり、逆に狭くなってみたりと、常に応用しながら変化します。

「中音(なかおと)」を安定させる

 ホールが違ったら演奏しにくくなるということはたくさんあるのですが、その影響を最小限におさえるために、クレモナでは奏者間の音、つまり「中音(なかおと)」を安定させることにリハーサルは集中して行います。

 奏者同士がしっかりと見る位置に立って、客席も隅々まで見ることができるのかをチェックしたら、リハーサルの大半の問題は解決できることになっています。

 さらに、今回はバンドネオンの音をMIDIでスピーカーから流すようになっております。MIDIの音って位相が揃っているので、そのまま流してしまうと、どうしても浮き上がってきます。これは、電子楽器全般に言えることですが、デジタルなんで仕方がないと言えばそれまでなんですが、その問題を解決する時に大事になるのがやはり”テロワール”なんです

電子音も「中音」として扱う

 デジタルで揃っている位相をバラバラにするのは意外に簡単で、技術的にはすぐにできるのですが、バラバラにするだけではダメ。でも、クレモナが大切にしている”テロワール”で紐解くと意外にシンプルに解説できます。何もMIDIの周波数を解析したり、フーリエを用いらなくても大丈夫。

 答えは簡単で、電子楽器であっても全て「中音」として、もしくは一人の演奏者として他のメンバーと同様に音をブレンドしていきます。そう自分たちの”テロワール”に近付けるために、対等に扱うということが最も大切になってきます。 この考えがわかっていない方が音響を担当される現場は、とんでもない結果になってしまうのですが・・・。

過去にはたくさんのケンカと罵り合いの結果、最近の私はそんな結論になってしまいました。


 今回の服部緑地野外音楽堂でのコンサート、17時からの第1部で、しかも1曲だけMIDIを使ったバンドネオンとのコラボ演奏をします。

 特にお客さまには説明はしないで、しらっと演奏するので気がついたら終わっているということになると思いますが、クレモナの新たなる可能性をちょっぴりだけご披露していければと考えております。

 ぜひ、楽しみにしていて下さい。

服部緑地野外音楽堂演奏会の詳細はこちらから。

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