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レコーディングの感想

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

先日無事にレコーディングを終えることができました。今回は前回までと違ってスムーズに進行し、予定していた全ての楽曲を録ることができたのが何より。

レコーディングで心掛けたこと

 さて、今回、クレモナのレコーディングで心掛けたのが、音の透明感と響きです。透明感とは物理的な音の解像度になり、「クリアな音」という表現をしたりします。また、響きというのは、音の情報量のことを指し、「サウンド感」といったりします。

 この両者を両立させることは非常に難しく、対極にあるものです。なので、クレモナでは演奏する物理的な音の情報量を増やしながら、解像度のある揃った音を同時に目指しております。普通のクラシック音楽のレコーディングの現場ではあまり考えることはないかもしません。

 情報量が少なければ圧縮してレベルを上げることも簡単にできる今の時代、いくら演奏している方が拘っても、制作サイドでは簡単に加工できちゃいます。逆にクリアな音を目指して作るなら簡単に位相を揃えることもできちゃうので、レコーディングの現場で求める必要はありません。ただ、両者を同時にするとなると結構大変。カスカスで音圧だけがある音楽になってしまいます。それはそれで、ゲーム音楽みたいで趣があるのですが、今の時代に生身の人間の演奏で追及するような音とは言えません。

クリアでかつブレンドされた音

 これって、物理学の限界なんですが、生演奏でクリアでサウンド感のある音を作り出すのって非常に難しいんです。それをあえて人の演奏で再現したいと思うのが、今回のクレモナの大きなミッションです。

 今回の完成品を聞いてもらえると、まず、メンバーそれぞれの音が聞こえていて、さらにブレンドされたものになっていることに気がつくと思います。特に「ラ・カモーラ」というピアソラ最晩年の作品群があるのですが、それは圧巻の演奏だと気付かれると思います。普通に四重奏には聞こえない情報量だと実感してもらえると確信しています。

 きっと綺麗な音だけを残したいというレコーディングではできなかったクオリティだと思います。そこに到達できたのが、今回の一番の収穫。楽しみにしていてください。

今回も【特選盤】を目指します!

 前回のアルバムで「レコード芸術4月号」にて【特撰盤】をいただきました。さらに、Amazonでは新着ランキングで第1位を獲得いたしました。非常に名誉なことですが、そうなるとその大きな評価の真価が今回のアルバムにかかっていると考えております。

 今後、クレモナではミックス作業からマスタリング、そしてプレスへと作業が進んでいきます。ぜひ、期待してお待ちください。

2021年9月25日 監督かじくん

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