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アッセンブラージュとセパージュ

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

本日は、サックスのみーこがいないので3人での練習となった。具体的に、テンポを決定するというのがこの日の大きなテーマ。

 テンポは、今あるベストな選択ができたとは思うが、今後全体を俯瞰してまだ変更があると予想される。

テンポの決定

 では、テンポをどのようにして決定しているのか、少し説明する。 これは何度も言っているけど、最終的なテンポ設定は、演奏する会場や、ポログラムによって多少の変化はあるものの、楽曲の持っている方向性によって決まることが多い。
 前回の練習では、「単に作品の今を切り取った言葉では不十分だ」とメンバーに言ったけど、本日はその続き。

 クラシック音楽というのは、なんと言ってもその歴史が古いというのが最大の魅力であり、演奏家はその伝統の中で今ある最大限のクリエーションを取り入れて進化して表現する芸術だ。

 バッハにしろ、ベートーベンにしろ、当時使用されていた楽器や演奏習慣をそのまま演奏することは、今はない。(もちろん、ピリオド楽器を使って演奏を研究されている人はいるんだけど、ここでは省略する。)当然、新しい楽器や演奏習慣を取り入れて進化していった経緯があり、常に新しいものを取り入れるという寛容な姿勢があったというのは、歴史的に見ても証明されている。

セパージュの罠

 ピアソラの場合、楽曲ができてから50年以上たっている楽曲もたくさんあり、当時の雰囲気は楽譜から読み取ることができるけど、それをそのまま受け継ぐだけでは、とっても面白くない演奏になってしまう。

 なので、クレモナでは4つの音を組み合わせるテクニックと、新しい表現を組み合わせるテクニク、その両方を磨き上げる作業を大切にしている。これを、音楽用語では「アッセンブラージュ」と言う。つまり、「ブレンド」するということ。 「アッセンブラージュ」する時にもう一つ欠かせない要素が、「セパージュ」になる。「セパージュ」というのは、音楽を混ぜ合わせる際の、わかりやすく言うと、ブレンドの比率のこと。

 新しい物と古い物を混ぜ合わせるという作業が大切になってくるのだけど、この比率というか「塩加減」が非常に難しい。よく、「古典風・・・」とか、「バッハへの・・・」というタイトルで、古いものと新しい物を組み合わせようと、多くの音楽家が試みているけど、大概は感心できる結果は得られていない。

 音楽の「セパージュの罠」に嵌まり込んでしまって、過多な表現になってしまうものが多いし、非常に残念だけど「対位法」について深く研究されていない作品ばかり並んでいるように思う。

「古いもの」と「新しいもの」の調和

 ここで、大切なのは「古いもの」と「新しいもの」が美しく調和されているかに尽きる。これら二つのものが、矛盾しないで存在する音楽というのは、非常に複雑で、「時を聞いている」ような感覚になる。

 クレモナでは調和のために、「フレグランス(香り)」を重要視してクリエーションしている。

 是非とも、公開練習を見学しにいらしてください。

2022.06.06 監督かじくん

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