Listen to the Coffee,the Music and Cats.五感で楽しんでいる日常

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2023.02.05|【シュクレ!】デビュー・リサイタルのMCノート

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

さて、シュクレとはフランス語で「お砂糖とミルク」という意味です。普段わたしたち『クレモナ』は池田市にある「ルークカフェ」を拠点に活動していますが、コーヒーと音楽を通して皆さんに五感で楽しむ日常をお届けしたいと思っております。

このシュクレは、ピアソラの芸術性を追求し、さらなるクラシックシーンを切り拓いていきたいという『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリとは違ってより生活に近い、より身近な、コーヒーに合わせたい音楽を皆さまにお届けいたします。

『クレモナ』よりフルート森脇佑季、ソプラノサックス上野舞子の二人のユニットということですが、どちらが砂糖でどちらがミルクというわけではなく、『クレモナ』のコーヒーの特長がお砂糖ミルクなしでも美味しい、ということで、そんなコーヒーに合わせてほしい「お砂糖とミルク」の代わりの音楽を、という意味を込めて名付けております。

そんな二人のユニットに対して、皆さんの目の前にあるピアノ、ですが、だいたい室内楽のピアノというのは半開が多いと思うのですが、全開です。このザ・フェニックスホールのYAMAHAのグランドピアノは国内でも有数の楽器です。このような素晴らしい楽器が素晴らしい状態で弾ける素晴らしいホールで、楽器の響きを殺すことなく、ピアノは伴奏ではなくあくまでも共演者という立ち位置で、演奏できればと思っています。例えるならば、シュクレに対してピアノは、コーヒーのような役割なのかもしれません。

それでは、シュクレ!のお二人にご登場いただきましょう。フルート 森脇 佑季と、ソプラノサックス 上野 舞子です。どうぞ。

① おおシャンゼリゼ

② 双子姉妹の歌

ありがとうございます。1曲目はおおシャンゼリゼからスタートしました。2曲目はロシュフォールの恋人たちより、ミシェル・ルグラン作曲の「双子姉妹の歌」です。

素敵な双子が映画のなかで歌い踊るシーンなのですが、この二人は双子のようにそっくり、というわけではありませんが、双子のように息ぴったりに演奏が揃います。

それぞれがそれぞれをしっかりとリスペクトしあって演奏する、そんな姿勢が本日のステージでは存分にお楽しみいただけると思います。

③ 無造作紳士

さてパリの街からは音楽や美術と一緒に様々なファッションブランドも生まれています。みなさん、エルメスのバーキンというバックをご存知だと思いますが、このバーキンのもともとの由来は、次に演奏する「無造作紳士」のシンガーソングライターであるイギリス人のジェーン・バーキンです。

ロンドンとパリの間を飛ぶ飛行機の中で、ジェーンはバッグの小物を座席に落としてしまって、となりに座っていた男性に素敵なバッグがないかしら、とこぼしました。その男性がなんとエルメスの会長で、彼女の名前を冠にした、女性の理想のバッグをつくりました。

これが、バーキンの由来です。

この無造作紳士の邦題はなんとも妙な訳なのですが、「a quoi bon?」(それが何の役に立つの?)と聞く人、つまりなんとなく投げやりな彼のことを歌った曲です。ぜひお楽しみください。

④ エディットピアフを讃えて

パリの街にはわたしたちが拠点とするルーク・カフェくらいの小ぢんまりとした「シャンソニエ」という場所がありました。シャンソニエでは時間になると、ふと客席の輪の中にいた歌手が歌い始めます。みんなコーヒーやワインを飲みながら、彼女たちの歌に耳を傾けます。

そんなシャンソニエから出て、未だ名をはせる歌手に「エディットピアフ」という女性がいます。シャンソニエでは様々な音楽家や芸術家や文豪たちが交流をしたといいますが、パリの音楽家フランシス・プーランクがピアフにささげた楽曲をお届けいたします。

朗々と歌う彼女だったらどんな風に歌うのか、プーランクの想いが乗せられた一曲です。

⑤ アコーディオン弾き

ピアフがよく歌った曲で「アコーディオン弾き」という曲があります。

ちょうど去年の2月25日でこのフェニックスホールで、アコーディオンの杉村 壽治先生とタンゴの演奏会をさせていただいたのですが、その前日に、忌々しいウクライナへの侵攻が始まりました。

9月には杉村先生とウクライナへの平和の祈りを込めて、松原でコンサートに出させていただいたんですが、まだこのバカみたいな戦争は終わっていません。

きっとこの曲に出てくる、マリーという女と、アコーディオン弾きのような運命をたどっている人々がまだいるかと思うと、なんともむなしい気分になります。

自分の非力さ、というようなおこがましい意見にはならないのですが、それは良くないことだ、というのはきっとみんながわかっていることだと思います。

本日は三輪明宏さんの訳詩で演奏したいと思います。

⑥ 白い恋人たち

ありがとうございます。それでは1部最後の曲となります、シュクレのお二人に返ってきていただいて「白い恋人たち」をお届けしたいと思います。

音楽や、コーヒーの香りが呼び起こす記憶があります。昨年よりこの白い恋人たちを色々なところで演奏させていただきましたが、必ずどなたかお客さまがハミングされます。きっと昔の何かとシンクロしているのだろうなと思います。

この後休憩となります。ぜひ美味しいコーヒーを買う楽しさも味わっていただきながら、

のんびりとおくつろぎ頂ければと思います。

【休憩】

⑦ キャラバンの到着

2部になりました。1曲目はミシェルルグランの「キャラバンの到着」をお届けいたしました。ミシェル・ルグランはわたしたち『クレモナ』の専門としているアストル・ピアソラと同じ先生である、「ナディア・ブーランジェ」という女性にパリでクラシックの音楽理論を習っています。

このブーランジェという先生は、クラシック音楽の基礎をきちんと叩き込み、生徒それぞれの個性を引き伸ばす、それも今でも名をはせる素晴らしい音楽家たちを輩出した、とても優秀な音楽教師です。

⑧ シェルブールの雨傘

次の楽曲、シェルブールの雨傘もミシェルルグランの作曲です。

映画のシーンが思い出される方もおられるかもしれません。映画を見た記憶って、話のストーリーよりも、いつ・どこで・誰と見たかを思い出しませんか?2部は特にそんなワンシーンの名曲がたくさんありますので、ぜひ音楽と一緒に少しずつ記憶を呼び起こしていただければさいわいです。

⑨ さらば、パリ。

ありがとうございます。それでは、ピアソラの作品を。パリで学び、アルゼンチンへ帰国する際に書いた楽曲です。まだまだ作曲は若く、青い感じもしますが、一貫してピアソラらしさの感じられる一曲です。

⑩ 男と女

次はフランシス・レイの楽曲をお届けします。若い音楽で、アップテンポで演奏すると、音の粒やハーモニーが瑞々しく感じられるかもしれません。

⑪ オペラ座の怪人

次の楽曲はミュージカル・オペラ座の怪人から、「オール・アイ・アスク・オブ・ユー」、私の願いはという楽曲です。

怪人が愛するクリスティーヌは、彼の監視下であるオペラ座から屋上に抜け出し、若いラウルという子爵と愛を歌うとてもロマンティックなシーンです。このシュクレではどちらがお砂糖とミルクでもないように、どちらがラウルでどちらがクリスティーヌというわけではなく、この音楽の満ち溢れた幸福感をお楽しみいただければと思います。

⑫ 夢破れて

オペラ座の怪人で、怪人の隠れ家はオペラ座の地下にあり、地下に湖を作っていた、というシーンがあるのですが、パリでは古くから下水が発達しています。ビクトル・ユーゴーの「ああ無情」でも下水を通って逃げるシーンがあります。

次の楽曲は「ああ無情、レ・ミゼラブル」より「夢破れて」です。

19で恋に落ちたフォンテーヌは、コゼットという子供を授かりますが、相手の男性に捨てられ、さらにコゼットの養育費も払えず、初めて娼婦として客を取った、そんなシーンの後に涙を流しながら歌い出します。

初めの「dream」は、若くて自分が美しいときになんでも手に入った夢、

中間の「dream」は、こんなつらい人生でなかったらよかったのにという夢、

最後の「dream」は、それでもいつか彼が帰ってくるという夢を歌います。

ユーゴーはこの物語についてこう言っています。「この世に、無知と貧困がある限り、このような物語は必要であろう」

絶望の淵に、この音楽があります。ぜひ聴いていただければと思います。

⑬ マイナースウィング

最後の楽曲になりました。「シュクレ」で一番最初にやりたい!と提案した曲です。ジャンゴ・ラインハルトというギタリストが、スウィング・ジャズとジプシーの音楽を掛け合わせて作った「マヌーシュ・スウィング」から、「マイナースウィング」をお届けしたいと思います。

フルートゆきとサックスみーこの思いっきりの演奏をお楽しみください。

本日は本当にありがとうございました。

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