新曲のカプースチン。全体の練習で細かく見ていく作業をしております。神経使う練習となり、ヘトヘトになるまで練習。めっちゃくちゃ疲れます。
今回までは譜読み!
さて、今回までの練習を譜読みと言います。これは、はじめに細かな譜読みを揃えるのですが、どうしても音楽的にエレメンツの最小化を目的とした練習になりがちですが、それだけでは不十分です。
特に、カプースチンのように素材の音型を反復させる音楽(ある意味、ミニマルと言っても良いと思われます)では、その音の発音が重要になってきます。クラシック音楽の世界で、音の発音法などを揃える作業を「ディクション」と言います。本日は、そのお話をします。
新しい表現へのヒント「ディクション」
現代のクラシック音楽の演奏者は、「新しい表現を表出させたい」と思い、さまざまなアプローチをしていると思われますが、本日はクレモナのアプローチを簡単にご説明いたします。
まず、音楽を新しく表現するために、クレモナでは実験的な要素を多く取り入れています。これは、1つの楽器であっても、アンサンブルであっても同様です。新しく未解明な音楽となるために、実験的な要素と伝統的な要素のバランスを考えて、ちょうど良い湯加減で仕上げるようにしております。
「反復」すること
そこで最も大切になってくるのが、「反復」。これは、大衆的な音楽であっても、巨匠の作り上げるクラシック音楽であっても同様。音楽は反復されることによってさらに魅力的なものへと進化していきます。
もちろん、クラシック音楽では、繰り返しを否定していた時代もあり、もしかしたら聴衆の皆さまの中でも、「繰り返しの音楽はちょっと…」と、言われる方もおられると思います。
でも、ミニマルな要素はこれからのクラシック音楽を考えた時に、絶対的に必要な要素だと思っています。(この話はまたしましょう)
楽器に対する期待
さらに、各楽器には、長い歳月使用されていた歴史的な音を含んでいます。例えば、フルートだったら、その音を聞くだけで、フルートで奏でられた別の曲を連想されることがあります。
そういった聴衆のある種の期待に応えつつ、意外な音響を出すことができればというのが、今回の大切なミッションとなります。少しづつ変化させながら最終的に意外な音響になる。そして、それらが新しいものであればと考えて譜読みをしました。
そこで大切になってくるのが、前述の「ディクション」になるのですが、ある意味これまでの楽器の音とは少し離れた音響を目指すべきだと考えております。
モーツァルト時代のクラリネットのような…
実は、クレモナではMIDIという電子音もかなり使用しているのですが、そこで感じた「電子音的な新しい響きをリアルな楽器でも表出させることができたら」というのが、初めの着眼でした。
電子音というのは、歴史がないので、より自由に、そしてオープンに作ることができます。新しい響きという意味で、電子楽器はモーツァルトの時代のクラリネットみたいなものです。
この辺りの種明かしは、公開練習でご覧ください。お越しいただけたら、全てをお見せいたします。入場料は頂戴致しません。ぜひ、よろしくお願いします。
2023.03.11 監督かじくん
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