室内楽コンクールOSAKAが無事に終了いたしました。当日、私は舞台監督としてバタバタと進行をしておりました。めっちゃ疲れました。
ここで、結果について私の考えるところをお話しいたします。
ひとえに室内楽、と言っても。
このコンクールでは室内楽というカテゴリの中でさまざまな編成の演奏者が本選に出場されました。古典派からロマン派、現代の作曲家まで多種多様、しかもピアノ、弦楽器、管楽器、そして打楽器までたくさんの楽器での出演ということで、舞台監督としては、本当に大変でした。
でも、聴きに来られたお客さまとしては、これだけのジャンルの室内楽を一度に聞く機会というのは、他所では絶対になかったと思うと、本当に素晴らしい企画だったと思います。
審査結果について
さて、気になる審査の結果ですが、僭越ながら私見を述べさせていただきます。まず、お客さまが、それぞれ気に入った演奏者に1票入れるという仕組みのコンクールで、自ずと人気投票的な結果につながると予想していたのですが、意外に、投票総数はそれほど差はありませんでした。
でも、結果は上位3組と、下位3組では大きく差が生じてしまいました。
最初から最後まで聴いていただくということ
その理由は簡単。最初から最後まで聴いて投票された方は5ポイント。途中で入退場された方は2ポイントとなる加点での投票で、結果的に大きな差が生まれました。
つまり、上位3組を投票された方は、2時から投票が行われる6時まで全ての演奏者を聞かれたということです。
客席の皆さまの、それぞれのお気に入りの数は差がなかったけど、上位3組を応援してくださったお客さまは、最初から最後まで聞いて判断した本当に良いお客さまが多かったのではと推察いたします。
皆さまは、この結果をどう思われますか?
ここでポイントとなるのが、最初から最後まで聞いてくださるということです。自分達で宣伝したにしろ、たまたま聞かれたにしろ、コンクールの趣旨をご理解くださった方々が応援された団体が上位になったということです。
上手な演奏だけでは生き残れない時代
また、下位の団体でも素晴らしい演奏をされた方もおられて、純粋に技術だけで評価をされなかったということがよかったと私は考えております。
演奏が上手だというのは武器にはなるのですが、これからの時代、上手な演奏だけでは生き残れません。その辺りを勘違いして、聴衆を無視して技術だけを披露する団体には残念な結果となりました。
これって、ようく考えると私たちの世代が悪いように思ってしまうんです。私のような団塊ジュニア世代は、世代間での競争が厳しく、どうしても技術だけを追い求めて、結果として似たような劣化したコピーばかり排出されてきたとに思うんです。
つまり、個性がない、凡庸な演奏家ばかりだという印象です。
そして、そんな私たちの世代が親になり、教師になった結果、国内にいる演奏家のほとんどがオリジナリティを追求しない中身のない演奏をするようになり、薄っぺらく解りやすい価値観でしか指導できなくなった結果が、今のクラシック音楽の衰退につながったと思う時があります。
このコンクールを通して、つまらない演奏を指導してきた自分を反省するとともに、オリジナリティを訴求し続けた若き才能に敬意を払いたいと思います。
2023.04.09 監督かじくん
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