月曜は公開練習でした。この日は、新曲の「タンゴ」という作品の練習。メンバー全員で気合い入れて取り組みました。
味覚と一緒で感性を磨かないとダメ
自分の演奏しているタイム感がわからない的な事を言ってしまう演奏家がいますが、それって、本当に自分の音を聞かないで演奏しているということでしょうか?よく、私に向かっても平気で言う人もいます。
普通に「アホか?」って言いたくなるのですが、今の時代、アホにアホって言ったらいけないみたいなんで、一回は我慢することにしています。
そういう演奏家は、今すぐ良質な音楽をしっかりと聞いて、勉強し直さなければいけません。
これって、味覚と一緒で、毎日マグドナルドのハンバーガーと、コンビニの弁当食べて、ショートケーキが甘く感じなくなったという人の体験談を読んだことがありますが、良質な音楽を聞いていないから、その素晴らしさを感じる神経(感性かもしれない)が劣化してしまう人がおられます。
下品な音楽ばかり聞いて(演奏して)いるから、上質な音楽に触れた時に感性が働かなくなっているということです。
頭拍がしっかり取れるということ
で、次に良質な音楽のいったい何がすごいのかをお伝えします。
これは、以前からずっと言っていますが、頭拍がしっかりと取れているかということです。つまり、タイムがブレないということで、これが、どれほど素晴らしい技術で、簡単にはできないということを、演奏家は理解しなければいけません。
クレモナだったら、四人の演奏した和音がしっかりと頭拍でおさえれる必要があるということに、気がついていない、もしくは、気にしていないのかも知れません。
頭がしっかりと取れていないのに、裏とかもないでしょ?アウフタクトもへったくれもありません。しっかりと頭拍で和音を捉えること、こんな基礎的な事を徹底的に考えていないから、おかしなミスをします。
どうして、突っ込んでくるの?
どうしても、頭が突っ込んでしまう事が多いです。単純な事ができないという事です。
例えば、ジャンケンをする時、多くの人が同じタイミングで「ポン」と出すことができるじゃないですか?それくらい簡単な動作を完璧に正しいピッチで、正しい発音で、正しいタイミングで出すということが求めれるのが、プロフェショナルの演奏家の現場です。
言い換えれば、「誰にでもできるようなことを、誰にもできないレベルでする」のがプロです。
クレモナの場合、四人が同時に完璧なタイミングで演奏しなければいけません。しかも、一発目の表拍からビシっと揃えなければいけません。2回目のリフでようやく揃ってきたでは、全くダメ。
それがなぜできないのか?
この日の練習では、休符の後の3拍目がバラバラになっていたので、当然、監督として、完璧に合うように注意をしました。
まず、多くの演奏家が理解していないのが、クラシックのランゲージが理解できていないということです。ランゲージというと、「発音」とか思われる方もおられますが、大切なのは音のない部分です。
つまり、3拍目の1拍前にある休符(今回の場合、四分休符)の取り方が全くダメ。きっと、一人で練習している時から、休符を休憩と感じているのか、何も考えていなというのがよく伝わってきます。
こんな練習、何回やっても意味がないし、根性論的な思考は全く不要。というか、休符時の緊張感のなさが、その後の音楽を全て台無しにしているって、気が付いていない。
休符こそがクラシック音楽だし、「音がないけど、音楽はあるんだ」と、理解し、その瞬間を緊張して感じるようになってほしいと、願っています。
間が悪いから「間抜け」
だから、間が悪い音楽になってしまいます。こういうの、間抜けって言いますが、間抜けな演奏って聞けたもんじゃありません。
恐らくですが、個人でしっかりと練習していても上達しないのは、練習の仕方が悪いのであって、そこを改善しなければならない。
さらに、取り出して練習する意味が理解できていないので、練習が積み上がっていないんですよね。努力の痕跡は伝わってきても、努力の成果が得られない、そのような積み上げは、何かが間違っていて、メンバーを見ると、練習箇所の積み上げがつながっていないように感じてしまいました。
そのためには、徹底したメトロノーム
クラシック音楽の場合、音楽がタイムによって流れています。そして、そのタイムの中で、いかに演奏するのかが求められる音楽です。この概念がない限りは、何も始まりません。
しかも、ゆっくりなテンポからです。
ポイントは、ゆっくり演奏している時に、いかに音楽的で緊張感があるかが大切で、フィンガリングだけの練習では意味がありません。
これを理解していない演奏家が多くて、緊張感なく、ダラけたテンポが遅いだけの演奏を、私たちは音楽とは言いません。特に、休符に緊張感を持って、テンポを落として練習を続ける、その積み上げをレッスン時に見せてくれれば、僕の仕事の質はもっと上がりあす。
次にするのが、同じ熱量で音を小さくしていくという作業です。大きな音を同じ緊張感を持って、単に音量だけ下げる、これができるようになってようやく一人前。この話は、またいつかのタイミングでしますが、まずは、日頃の練習がしっかりと積み上がるように心がけてほしいと願っています。
2023年9月23日 監督かじくん
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