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「悪魔」的音楽表現について

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

久しぶりの更新になります。いよいよ定期公演に向けての練習が始まり、演奏する楽曲の楽譜も出来上がりました。本当の意味での臨戦態勢となります。


 さて、先日の練習はピアソラの作品群「悪魔」を3曲練習しました。芸術の世界では、人間離れしたヴィルトゥオーゾの事を「悪魔的」と表現したりします。「悪魔に魂を売ったヴァイオリニスト」といった表現で、褒め言葉ではあるのですが、少し皮肉や嫉妬などを含めた表現です。

 ピアソラ自身も、誰にも真似できない最高のバンドネオン奏者でした。彼の激しいアドリブは「悪魔が乗り移ったような演奏」だったと評価されたりもしています。

 そんな悪魔的な技術を持っているピアソラが「悪魔」をテーマに作品を作り上げました。これって、もしかしたら私たちが思っているような「悪魔像」とは少し違ったものなのかもしれません。

 表現が難しいのですが、もっと身近な存在としての「悪魔」が作品にあるように思われます。

 楽譜から読み取れることとして、ショパンに見られるような「死」を連想させるような「悪魔的」な表現はありませんし、ベートーベンやリストで見られるような「悪魔的なオクターヴの連打」みたいな箇所もありません。

 では、一体作品のどこに「悪魔」が存在しているのでしょうか?謎は深まるばかりです。

 部分的には、跳躍と7度下への動きが非常に強い動機などがあり、「悪魔的」と言えるところはあるのですが、それだけでは徹底的に説得力に欠けています。

 形式的に見るとさらに面白いことがわかりますが、最初の序奏のようなプロローグの箇所で、毎回大切な材料を見せるように作り上げました。

 古典的な作品の場合、序奏というのは雰囲気を醸し出したりはしますが、主題や動機そのものを見せないのが一般的です。今回「悪魔をやっつけろ」という作品では、古典的に作り上げることを意識しています。アダージョから始まる序奏のあと、アレグロで主題が出るようにしたのですが、それでは今の時代の演奏としては面白みに欠けます。

 見ている人がいつの間にか作品の中にいたと思わせるような仕掛け作りをしています。これ、聞いたら絶対に驚かれると思います。
 今回の定期公演では、明らかに新しいクリエーションを表出させようと試みております。

ぜひ、チケットはお早めにお求めください。

2022.02.12 監督かじくん

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