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機能する「ブレス」

『クレモナ』モダンタンゴ・ラボラトリ

 昨日のブログで「ブレス」について少し話しましたか、機能するブレスについてお話しいたします。

【クレモナ】にとってのブレス

 クレモナにとってブレスを取るということは、管楽器の性質上、日常生活とは少し違った状況だと言えます。楽器を吹くために新鮮な空気を体に取り入れるという作業が必要になってくるのは当然ですが、それだけでは不十分なんです。

 どのタイミングで誰が、どのようなブレスをするのかが徹底的に大切な問題となり、クレモナでは、大きく分けてブレスには2つのニュアンスが含まれております。

テンポ示すためのブレス


 1つ目は、次のテンポを示すためにブレスをすると言うことです。音と音との”間”にブレスを取るので、テンポ感がないブレスは”間抜けなブレス”になってしまいます。

 まずは、強い意思のある者(決定権者)が、次のテンポをメンバーに伝えるためにブレスを取る。でも、これは大袈裟にしてしまうと音楽表現を阻害してしまうので、オーバーなブレスは絶対にしません。時々、身振り手振りを使ってブレスをされる人もいますが、結果は感心できない事が多いと思います。

 また、メンバーにテンポを伝えるようなブレスをする時は、なるべく見やすくするのではなく、むしろ少し不親切なブレスで良いと思います。ほんの少しの動きであっても、集中している演奏者は見落とすことはありません。これって、指揮者やコンミスにも言えることですが、振り過ぎるのはかえって集中しにくくなるので禁止です。

音楽の表情にあったブレス


 2つ目は、音楽の表情に似合ったブレスを取ると言うことです。ブレスで音楽の表現をしっかりと伝えると言ってもいいです。ピアニストの場合、音楽的表現を表情で伝える人がたくさんいますが、ソロの場合はそれでも成立すると思いますが、アンサンブルになると少し違ってきます。

 そりゃあそうですよね。ピアニストって、最終的に上を向いて目を閉じても演奏は続行できますが、アンサンブルでそれをやってしまうと、周りが迷惑してしまいます。なので、ブレスによって表現を伝えることも大切になります。

 その時に口の中が、表現に似合った状況になっているのかも大切になります。具体的に説明すると「Dolce」と言う音楽表現の記号がありますが、「Dolce」の時は、口の中が甘い状況にならなければいけません。口の中が甘くなっているから、出てくる音も甘い音になります。逆に口の中が「Dolce」になっていないと、その表現は平淡なものになります。

今回の演奏の良かった点

 クレモナでは演奏習慣から暗黙のうちに主導権を取る人が決まっており、ブレスの段取りも決まります。本番でも各メンバーが責任を持ってブレスをするのですが、どうしても力が入ってしまったり、自信がないと、間違ったブレスになってしまい、結果は思わしくないものになることが多々ありあす。

 ブレスのミスと言う些細な問題が、大きな失敗につながるので、責任持って取り組まなければいけない問題であり、先日の演奏は概ね、良いブレスが取れたと言うのが私のはじめの感想でもあります。

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